「グレーゾーン事態」は実にグレーな事態だ。

 少し前から「グレーゾーン事態」への対処が話題になっているが「グレーゾーン事態」が何を指すのかさっぱり分らない。
日本の離島などに武装集団が上陸した場合など、いわゆるグレーゾーン事態
中谷防衛大臣は、視察で訪れた埼玉県狭山市にある航空自衛隊入間基地で記者団に対し「海上警備行動や治安出動の際の閣議決定をより迅速にすることは、当然必要なことだ」と述べました。NHK
 ニュースではこんな時だという。

 海上警備行動は海上保安庁の所管だ。陸上での治安出動は警察の所管だ。これらの任務に海上保安庁や警察が出動するのは法律に則っているから閣議決定は要らないはずだ。だが自衛隊が出て行くには法律がないから特別な取り決めが必要になる。
 ここまでは理解できる。だがなぜグレーゾーンなのだろう?

 「日本の離島などに武装集団が上陸した場合」、それが犯罪行為ならば海上保安庁と警察が対応すればいい。明確である。例えば石垣島に武装集団が無許可で上陸すれば法律によって取り締まり逮捕すればよい。

 もしそれが強い武装をしていて警察の対応を超えていたら、自衛隊の出動も国民の理解を得ることだろう。これはグレーゾーンなのだろうか?そしてこれは個別的自衛権そのものだろう。

 だがもしその離島が尖閣列島ならば、日本の主張は変わらないけれど中国の主張もあり、極めて危険な事態になる。これを、微妙な判断を要する「グレーゾーン事態」と称するならばまだ理解は出来る。

 そしてもし上記を「グレーゾーン事態」と言うのならば、「電話を使って閣議決定すること」なんぞは軽はずみそのものだ。

 「グレーゾーン事態」を定義せずなし崩しにすることは、日本の軍隊をなし崩しに投入した過去の愚行の再現になるだろう。

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